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楽譜は台本、私たちは俳優

春分の日に行われた「筑豊支部合唱講習会」に参加しました。

お彼岸の中日だったためか、お寺関係の団員の多い我が合唱団は参加者が例年より少ないように思いました。

とても充実した講習会だっただけに残念なことでした。


さて、講習会は、作曲家の信長貴富先生をお迎えし、午後から混声と男声の2部にわたって開催されました。

混声は、先生が作曲された「ジグザグな屋根の下で」と編曲された「群青」の2曲を使っての講習でした。


「ジグザグな屋根の下で」は先生がこの詩を選ばれた理由や先生がイメージされる表現の変遷などをお聞きすることができて、大変興味深かったです。


また、「群青」では、作曲を手がけられた当時の小高中学校の音楽の教科担任を務めておられた小田美樹先生から信長先生がお聞きになったという、出だしのユニゾン部の低音の意味を紹介してくださいました。

それは、「当時、男子生徒の中にこの歌をどうしても歌わない子がいたために、『ここだけでも絶対歌って』と、その子のためにこの部分を彼のキーに合わせて低くされた」という話でした。


私は、その話に涙ぐみました。

なぜなら、私は、教科こそ違え小田先生とは同業者で、そんな男子生徒の姿が手に取るように分かったからです。

信長先生のお話からはわからなかったのですが、この部分をユニゾンにされたのも、彼が歌いやすいようにという配慮ではなかったでしょうか。

きっとくだんの彼はこの部分だけは歌ってくれたのでしょう。

私が担当する美術科でも個人制作はなかなか描いてくれない不登校の生徒でも、全校制作となると描いてくれることが多いものです。

全校で歌う、全校で制作するというのは、このような側面から見ても意義深いものです。

この背景を知ったから、私のこの曲への想いが一段と強くなりました。


元々この曲には大変な思い入れがありました。今から10年ほど前に、勤務校の全校合唱曲がこの曲に決まったことを知って、美術科では、全校制作でこの曲のミュージックビデオを作成しました。

パラパラ漫画の手法で歌詞に合わせて作ったアニメーションでした。

文化祭当日、このMVを視聴した後、全校で合唱しました。

合唱のピアノは、ピアニストになった私の同級生が弾いてくれるというおまけつきでした。

体育館は、私たちが高校生の時にこの中学校の文化祭に招かれて、合唱を演奏した古い体育館でした。


個人的な話が長くなってしまいましたが、このように曲の背景を改めて知り、作曲家の想いをお聞きしながら歌う合唱は、とても楽しく2時間があっという間でした。

私たちの歌を聴いて、先生がその場で「どうしようかな」と考えながら指導される姿に、楽譜は台本で、私たちは監督の想いに応えて演技しているんだなと感じました。


このようなチャンスはまたと無いですが、歌詞の意味、楽譜の意味を理解し、指揮者の想いに応えることが合唱の醍醐味だと改めて思いました。


福岡県飯塚市

混声合唱団「コーロ・サンガ」


 
 
 

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